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ガスコンロとIHクッキングヒーターの比較 安全性火がないから安全って本当?

天ぷら油火災は火がなくても起こる

「IHクッキングヒーターは火がないから安全」と宣伝されています。しかしガス式・電気式を問わずコンロによる火災で最も多い原因である「天ぷら油火災」は、火があるから起こる火災ではありません。天ぷらを揚げる油の温度は180℃位が適していますが、加熱し過ぎて250℃位になると油から煙が出始めます。300℃以上ではものすごい勢いで煙が出始め、370℃になると、火種がなくても自然発火します。

IHクッキングヒーターの場合、鍋底が急激に加熱されます。従って、少量の油で加熱した場合や揚げ物キーではなく加熱キーで操作した場合、鍋の急激な温度上昇にセンサーによる温度検知が追いつかず、発火するおそれがあります。また、鍋底が変形した鍋で調理した場合やプレート上に煮こぼれがある場合などには、温度センサーが正しく働かず発火するおそれがあります。フライパンの予熱は、急激に温度が上がり、その状態で油を注ぐと発火の危険がありますので、避けたほうが良いでしょう。IHクッキングヒーターを使用する場合には、こうしたIHクッキングヒーターの特徴をきちんと理解し、正しい使用方法で調理することが大切になります。

一方、ガスコンロの場合は、接触センサーであること、IHクッキングヒーターに比べ鍋の温度上昇が緩やかであり、少量の油で調理した場合などでも、IHクッキングヒーターに比べて温度センサーが働きやすいという特徴があります。全口に温度センサーがついていないガスコンロを使用する場合、天ぷら油加熱防止機能付の方で揚げ物をすることが重要です。なお、現在販売されているガスコンロは、すべての口に温度センサーが搭載されています。

業務用のガスコンロ、可搬性のある一口コンロは対象外です。

ガスコンロの場合

センサーがなべ底にぴったり密着

IHクッキングヒーターの場合

センサーと鍋の間にトッププレートの障壁があります。だから、鍋底が変形していたり油が少ない場合センサーが正確に温度を読み取れず、発火の恐れがあります。

コンロは安全機能で選びましょう

天ぷら油火災は、油を加熱している途中に電話、来客があった場合などの消し忘れが原因になる事が多く、電気式・ガス式いずれにも起こりえることです。特に、ガスコンロの場合、多くの方が気にされるのが、火の消し忘れです。最新式のガスコンロ・IHクッキングヒーターには、調理油過熱防止機能、コンロ消し忘れ消火機能などがついており、安全性は向上しています。コンロを選ぶ際は安全機能をよくチェックして選びましょう。 なお、いくら安全装置が充実していても、調理中、特に揚げ物をしているときはその場を離れないということが大切です。

要因搭載安全機能
ガスコンロ
(Siセンサーコンロ)
IHクッキングヒーター
コンロ部 天ぷら油火災調理油過熱防止機能温度過昇防止機能
空だき・焦げつき焦げつき消火機能
立ち消え安全装置
空焼き自動停止機能
消し忘れ コンロ消し忘れ消火機能 切り忘れ防止機能
鍋無し自動停止機能
グリル部 消し忘れグリル消し忘れ消火機能切り忘れ防止機能
グリル加熱グリル加熱防止機能温度過昇防止機能

メーカーによって機能の名称が異なります。
機種のグレードによって搭載される機能が異なります。

火がなくてもやけどに注意

IHクッキングヒーターのトッププレート自体は発熱しないものの、鍋などから熱は伝わるため、高温となる場合もあります。火がない分、わかりづらいことから、気を付けなければなりません。
ガスコンロの場合は、調理中、衣類の袖に着火する危険性があります。鍋をのせていない口の火を止めるといった対応が必要です。現在は、鍋を置いていない状態では点火せず、鍋を持ち上げると炎が小さくなるといった安全装置(鍋なし検知機能)がついた機種もあります。センサーを解除すれば、鍋を振ったり、あぶり料理が可能となります。

ガスコンロの場合

IHクッキングヒーターの場合

ちょっと気になる電磁波の話

IHクッキングヒーターからはかなり強い電磁波が発生しますが、その電磁波は国際機関によるガイドラインを下回っています。ただし、電力会社や家電メーカーは、心臓用ペースメーカーなどをお使いの方に対しては、専門医に相談するよう注意喚起をしています。

~IHクッキングヒーターカタログより ~

  • 医療用ペースメーカーをお使いの方は、念のため専門医師とご相談の上お使いください。
  • IHクッキングヒーターをご使用の際は、磁気に弱いものを近づけないでください。ラジオ・テレビなど(雑音の原因となります)、ICカード・キャッシュカード類など(記録が消えたり、壊れる可能性があります)